成年後見について
法定相続人の中に、自分で判断することができない人(成人)がいるにもかかわらず、遺産分割を行った場合、その分割は無効になります。このように、自分で判断することができない人(意思能力のない人)のための制度として、成年後見制度があります。成年後見制度には、「法定後見」と「任意後見」があります。
成年後見制度の申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。必要書類の用意や調査などを経て成年後見制度が開始となります。
成年後見制度の手続きの流れ
申立に必要な書類ができたら、本人の住所を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
申立が受理されると、申立人、本人、成年後見人候補者が家庭裁判所に呼ばれて家庭裁判所調査官から事情を聞かれます。
精神鑑定が精神科等の医師に依頼されます。
事実調査・精神鑑定を経て家庭裁判所からそのまま成年後見人候補者が選任されることが多いですが、認められなかった場合には、司法書士等が選任されることもあります。
裁判所から審判書謄本をもらいます。
東京法務局にその旨が登記されます。
申立てに必要な書類
- ・財産目録
- ・収支状況報告書
- ・申立事情説明書
- ・後見人候補者事情説明書
- ・本人と親族関係を明らかにする親族関係の図面
- ・その他の必要書類(通帳や不動産の登記事項証明書など、事案によって必要な書類は異なります)
精神上の障害(認知症、精神疾患等)により、判断能力が十分ではない方が不利益を被らないよう、家庭裁判所に申立てを行い、その方の法律行為を援助する代理人を付けてもらう制度です。
法定後見制度は、後見、保佐、補助の3つに分かれ、本人の精神上の障害の程度によって区別されます。
後見
ほとんど判断出来ない人を対象としています。
精神上の障害(知的障害、精神障害、痴呆など)によって常に自分で判断して法律行為をすることはできないという状態の方を保護します。家庭裁判所は、本人のために成年後見人を選任し、成年後見人は本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行うことができます。また、成年後見人または本人は、本人が自ら行った法律行為に関しては日常行為に関するものを除いて取り消すことができます。
補佐
判断能力が著しく不十分な人を対象としています。
精神上の障害(知的障害、精神障害、痴呆など)によって簡単なことであれば自分で判断できるが、法律で定められた一定の重要な事項については援助してもらわないとできないという状態の方を保護します。家庭裁判所は本人のために保佐人を選任し、さらに、保佐人に対して当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権を与えることができます。また、保佐人または本人は本人が自ら行った重要な法律行為に関しては取り消すことができます。
補助
判断能力が不十分な人を対象としています。
精神上の障害(知的障害、精神障害、痴呆など)によって大体のことは自分で判断できるが、難しい事項については援助をしてもらわないとできないという状態の方を保護します。家庭裁判所は本人のために補助人を選任し、補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権または同意権(取消権)を与えることができます。
現在は元気で支障がないけれども、将来、判断能力が衰えてしまった場合に備えて、支援内容・方法を今のうちに信頼できる人に頼んでおきたいという場合に使う制度です。